「スリーエックススリー」がきっかけになったら
鈴木さんは27歳の頃、アマチュア選手をはじめ、誰でも参加できるバスケットのイベントを運営する業界へと駒を進める。
2019年には、リペアのスポーツ事業全般を担う「BOOKS」へ転職し、2023年には代表取締役社長となった。
各地で開催されるバスケットボールのイベントの企画・運営などを手掛け、バスケの魅力を幅広い層へと普及させる活動を行なっている。
鈴木さんが特に注力を注いでいるのが、3×3(スリーエックススリー)。
これは「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」で正式種目として採用され、元はストリートバスケの3on3から誕生した競技だ。
「少人数制で、小スペース、少ない時間でできるのが、スリーエックススリーの魅力です。それが、今の日本の環境と合うし、とても相性が良いと思っています。カッコいい音楽が流れていて、選手たちの距離感が近い、もっと気軽で身近にバスケットを感じてもらえる、それがスリーエックススリーの醍醐味だと思います。結構、激しいプレーも多く、目の前でそんなシーンを見ることができ、感動もひとしおです。スリーエックススリーに触れたことがきっかけで、本格的にバスケファンになったり、実際にバスケを始める人も多いほど、今とても注目されている競技なんです」
2021年夏に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」では、スリーエックススリーが、大会初となる正式競技として採用され、この運営スタッフとして、鈴木さんも参加した。
「実際に大会へ参加してみて驚いたところが、各選手へのケアが隅々まで行き届いているあたり。例えば、控室の清潔さ、ケータリングの内容、選手の導線や誘導のスムーズさなど。上げるとキリがないくらい完璧な運営でした。そしてタイムマネジメントも秒単位で正確。各競技の開始時間と終了時間の段取りが緻密でした。そんな世界照準の大会に参加できて、とても勉強になりいい経験となりました」
ライブ会場のような演出を
「B-BOOKS」が主催するバスケイベントは、バスケファンならずとも毎回、多くの人の心を掴んでいる。
その演出の細やかな工夫にも余念がない。イベントは常に人気アーティストのショーのような盛り上がりを見せている。
「イベントでは、まずはMCがトークで盛り上げ、ノリが良い音楽が流れては選手が入場し、観客の皆さんには手拍子をして選手一人ひとりを鼓舞していただくようにしています。イベントに慣れている選手には、客席に向かってパフォーマンスをしてもらったり、握手会や撮影会などを行なったり、バスケのイベントではありますが、アーティストのライブイベントのような臨場感や一体感を感じていただけるような演出に努めています」
「BOOKS」の代表取締役社長となって、今期(24年6月現在)で1年を迎える鈴木さん。
最後に今後の展望について伺うと。
「オリンピックでの日本チームの活躍やNBAの日本人選手の躍進、映画『スラムダンク』などの影響もあって、近年バスケットボール人口が増えているといわれています。けれども、そんな右肩上がりのバスケ人口に対して、体育館といったプレーできる場所が少ないのが、現状で、大きな課題ともなっています。そこで、僕たちはそんな問題を打破できるよう、今後、さらに様々なバスケイベントや大会を企画・運営していく予定です。もっと多くの人にバスケの魅力を知っていただき、プレーや観戦を楽しんでいただけたら本望です。さらに、プレーをするのは若い人だけでなく、小さなお子さんはもちろん、シニアの層まで広げていけたらいいですね。いつか、シニア層でのバスケの大会を開催する、それが今の目標です」
Photo&Text_Daisuke Udagawa(M-3)