ラストシュートを決めた瞬間に
小学校時代より、兄の影響でバスケットボールをはじめた。
初めて出た試合で、試合終了間際に、自らが放ったラストシュートが決まり、チームは見事勝利。
その日から、バスケットボールの虜となった。
「シュートを決めた瞬間、チームメイトや会場中のみんなが『わーっ!!!!!!! 』って、盛り上がって、歓喜の渦の中心にいました。あの時の快感がいまだに忘れられません。その頃から将来はプロ選手になりたいと思うようになり、学生時代はバスケ三昧の生活を過ごしていました。」
高校卒業後は一度就職をし、サラリーマンをやりながら、バスケットは続けていたという鈴木さん。
さらに、その夢を実現させるために、プロチームと関わりがあるバスケット専門のスクールを見つけ、入校を決断。
23歳のときだった。
「プロ選手を目指す身としては、少し周り道をした時期でしたが夢は諦めきれず、バスケを教えてくれる専門学校へ23歳で入学しました。主に午前中は練習、午後は筋トレ、夕方からはスポーツにおける心理学の勉強などをしました。その後、次第に大会やイベントの運営の方に興味が出てきて、徐々に進路変更をした感じです。」
卒業後は「bjリーグ※」の事務局に務め、リーグの大会や学生の大会の運営などに関わる職に。
週末は大会の運営をし、平日は、試合に活用できるデータベースのアプリなどを全国の学校へ普及させるなど、多忙な毎日を過ごしていた。
※「bjリーグ」と「NBL」といった2つの国内リーグが統合し、2016年に、現「Bリーグ」が誕生した。
データによる分析を提案
「『バスケットパッド』というソフトを全国の高校へ訴求する仕事をしていました。これは、タブレットを使って、各選出のシュートの成功確率やどこからシュートを決めたなどの試合のデータをまとめ、分析するソフトです。今では、様々な大学やプロリーグチームでも、定番化して使われています」
ソフトの操作法を伝えに、北海道から沖縄まで、全国各地を巡った。
ソフトの存在を知った選手たちが目の色を変え、試合の組み立て方を自分たちで考えるようになる、そしてさらにモチベーションが上がる、そんな瞬間にやりがいを感じたという鈴木さん。
「僕たちが若い頃は、まだスポーツ全般が『もっと走れ!! 』や『もっと声出せ!! 』とかどうしても根性論になりがちでした。それが、データやそれの分析によって、選手や監督が、より合理的かつ効果的な考えを持って、試合や練習に臨めるようになれたらいい、という思い一心でした。このソフトによって『チームの成績が格段に上がった』と喜んでいただいたときが、一番嬉しかったですね」
後編では、選手ではなく裏方に回った鈴木さんの活動内容についてさらに詳しく。
そして「B-BOOK」の展望について話を伺う。
Photo&Text_Daisuke Udagawa(M-3)