――パートナーシップを結んだ当初はなかったダイシン工芸のウェブサイトを制作し、内容を充実させ、より身近に感じてもらえるように職人のプロフィールや顔写真を載せるという工夫や、施工実績をわかりやすく掲載するなど、上原さんがジョインしてからの変化は目まぐるしい。
変化を恐れず進む先には
清水さん「上原さんが来たことや、現場に若い職人が2名入ったことで、工場に新しい風が吹いたみたいな感じがします。今の時代にマッチしているというか。どうしてもこういった地方の工場は、昔ながらのやり方を守りすぎていて、変化を嫌う傾向があるのですが、年齢層も若返り、今までのやり方を大切にしながらも新しい要素も取り入れていくことができたというか」
上原さん「僕もここにきた当初はやはり現場の職人さんたちと、どうコミュニケーションを取るかということや、自分が会社の現状を理解することに注力していたんですが、現在はそういった基盤の部分はしっかりと根付いてきたので、次の段階に進もうとしている感じです」
――具体的な次のステップとは? そう質問すると上原さんはこう応えてくれた。
変わらないものと、変わるもの
上原さん「ずっと職人ファーストを心がけている事に変わりはなく、僕としてはどうすれば職人さんたちが楽しく自分の仕事をしてくれるか、仕事を通じて成長してくれるかをマネジメントするのが使命だと思っているんです。技術力の面でもそうですが、気持ちもだんだんと『今』の現状だけではなく、『将来』や『未来』というワードが現場からも出てくるようになったんです。それはすごく大きな変化だと思っていて」
清水さん
「新しいメンバーが来たことで、それぞれの個性がより際立ってきたというか。たとえば僕なんかは、大きな家具を1人で最後まで創り上げる事に喜びを感じたり、複雑な構造のものを作ることを楽しいと思うんですが、工場の中には同じものを何個も同じように正確に創り上げる事に喜びを感じるメンバーがいたり。でも、それぞれに好きなことや得意なことは違っていても、それが『ダイシン工芸』の魅力というか、それぞれの個性を活かしつつ、工場全体としての生産性や正確性を上げていくという気持ちは同じなんですよね」
上原さん「そんな中で、メンバー皆と話し合って今度の理念や目標を立てていったんです。それぞれに自分自身の成長と、工場という大きな組織の発展を目標としながら、目の前のことをコツコツしつつ大きな目標にも向かっていけるようにと思って」
佐藤さん「今の人たちは、本当に自分たちの時代とは違って上品な仕事をする印象です。私なんかは、常々感心してしまうんですよ(笑)。私らの世代の工場のイメージとはまるで違う」
新潟の地から、想いを届けたい
上原さん「今後も清水さんと小まめに連携をとりながら、1つ1つの仕事の生産性を上げていくにはどうしたら良いかや、地元という場所に根付いてしっかりと地に足をつけながらも、大きな仕事をしていけるようにと思っています。東京からいただく様々受注、例えばショップ1件、トータルでダイシン工芸に任せてもらえるようなことも、だんだんと増えてきました。新しい機械を導入し、新しい技術を使い、職人たちの業でダイシン工芸にしか作れないものを生産し続けていくことが目標です。日本全国から『ダイシンの技術やクオリティが必要』、と熱望してもらえるよう皆で力を合わせていきたいです」