創業者の佐藤進さん(写真・中央)、取締役の上原真一さん(写真・左)、工場長の清水博利さん(写真・右)
パートナーシップを結び、2年という月日が経った。
最初に取材した時にはわからなかった問題点や、その後の課題などを現場ではどう捉えているのかを伺うと3名はそれぞれの視点から現在の状況を語ってくれた。
交差する3人。それぞれの想い。
佐藤さん
「清水さんに工場長を任せて、もう6年ほどになるかな。改めて考えると、もうそんなに経ったんだという感じがします。私からすると、上原さんがきてくれて、現場の雰囲気がグンと若返り、以前より活気が出てきたという印象かな」
清水さん
「確かに、工場内の年齢層も若くなり活気がありますよね。でも、佐藤会長に言われて驚きました。自分が工場長になってもう6年になるんですね」
佐藤さん
「清水を工場長にしようって推薦したのは、それまで長くここの工場長をしてくれていた市川という職人なんです。市川は現在、高齢のためフルタイム勤務からアルバイトに働き方を変更して、未だにこの工場に来て高い技術を後輩たちに教えてくれているんだけど。実は、その市川が清水を推薦しました」
清水さん
「市川さんからは学ぶことが多くて、本当に頼れる存在なんです。技術も凄い。この工場の誰よりスピードも早く正確なものづくりができる方。そんな市川さんと佐藤会長から工場長への推薦のお話を頂いた時は、嬉しいというよりプレッシャーの方が大きかったことを覚えています」
――「次に工場を任せるなら、清水しかいない」と思った当時の佐藤会長。
その理由を伺うと。
人を想う。だからこそ繋がる関係
佐藤さん
「まず周りの事に目を向けられている点。常に自分よりもほかの職人のことを気にしているんだよね。そこを高く評価しています。また、本人の職人としての仕事内容も申し分ないし、それなら次の工場長は清水しかいないな、と」
上原さん
「そうなんです。僕も現場のメンバーと1対1で面談などを積極的に行なっているんですが、清水の視野の広さや、周りを気遣う姿勢には本当に驚かされています。僕では把握できない現場の空気感、そして今の課題など、清水がいち早く気づいてくれるんです」
清水さん
「上原さんとは、年齢も近いこともあり今ではプライベートでも、ちょくちょく遊んだりする仲になりました(笑)。パートナーシップを結んだ当初は、確かに今までの工場が変化してしまうことや、どうなるか分からないという、経験したことのない事に対する不安が正直あったのですが、今では工場の年齢層が若返り、メンバー同士のコミュニケーションも増えて、そのことで色々好転したように思えます」
上原さん
「僕が見る限り、最初は確かにベテランの方が抜けて技術的に足りない部分もあったようなんですが、次第にそれを全て話し合いや助け合いで解決していくような雰囲気ができ上がってきて。今では、業務上で分からないことがあった時にも周りのメンバーに聞きやい環境があって、立場に関係なく活発に意見が出し合えるような、そういう賑やかな空気感があります」
佐藤さん
「清水さんは、後輩の意見を聞いて、それが本当に新しい視点の意見であれば取り入れたりもしているんです。キャリアが長いからとか、自分が工場長だからというような驕りは一切感じられない、本当に現場のトップに向いている人材だと思いますね」
清水さん
「パートナーシップを結んでからの数ヶ月間は、受注があまりなくて工場での作業がない時もあったんです。でもそんな時、上原さんが様々な方面へ営業をかけて仕事を取ってきてくる姿も見ました。なりふり構わない、がむしゃらな姿というか。最初は上原さんと自分の中に距離を感じることも正直あったんですけど、そういう姿や、僕たちに対する姿勢を見ていくうちに、心の距離が縮まっていって、気づいたら今の関係性が築けていたという感じですね」
――後半では引き続き工場の現在の様子や、今後の展望などについて伺っていく。
>>後半に続く。