新しいチャレンジにワクワクしかなかった
代表取締役の上原真一さん
執行役員の土居翔馬さん
――「森沢製作所」は1949年創業以来、木製建具造りを通じて空間の機能性と美しさを追求し続けてきた。
熟練した建具職人が多数在籍し、7,500 m²の広大な敷地に 5つの工場を構え、特に一点ものの特注建具製造において、豊富なノウハウを有していることでも知られている。
そんな唯一無二の技術力に魅力を感じたことが今回のパートナーシップへと繋がったのだという。
上原さん「ダイシン工芸の経営を2年間してきた中で、後藤(株式会社エバースホールディングス代表、後藤紘儀さん)から今回のM&Aの話を受けたのが今年の2月。およそ3〜4ヶ月前の事でした。」
――あっという間の出来事だったというが、その話を聞いて上原さんはワクワクしたという。その理由を聞いてみると。
上原さん「同じく新潟県にある『ダイシン工芸』での経験を活かせると思ったんです。更にモノづくりを探求できると思うと、不安やプレッシャーみたいなことは感じませんでした。むしろ、これからどんどん事業を拡大していける、そう思うと楽しみでしかありませんでした。自社の生産力を最大限に延ばすことにより、自社完結型かつ一貫性をもった製作体制をつくり出し、顧客様にも安心してもらえる会社に成長していけると思ったんです」
土居さん「僕は以前まで住宅リノベーション事業に10年ほど携わってきました。その中で、職人さんの施工技術に感銘を受け、ものづくりの大変さや面白さを身近で見てきたんです。そんな中、地方でのものづくり生産者が減少していっているという現状を知り、何か自分でできる事はないかと思っていたところ、今回の話をいただいて。自分の今までの経験が役に立つのであれば、と二つ返事で今回(異動)の話を引き受けました。」
――土居さんは2018年にオルガンクラフトに入社。
営業職を経て、施工管理も経験してきた。
今回の工場への移動は本人の希望が強く反映された形だという。
通常であれば首都圏からの住居の移住や、慣れ親しみのない土地で暮らしていく不安のようなものがあるかと思うが、土居さんは違った。
土居さん「上原さんが先にいたおかげか、そんな心配は皆無でしたね(笑)。初めて森沢製作所に来た時に、その広大な設備に可能性を感じました。今はこの工場に赴任して間もないのですが、正直右も左もわからないような状態です。今は、森沢前社長(現顧問)の引き継ぎ業務を中心に行なっています」
現状を見つめて新しい提案を探す
――歴史のある工場だが、様々なシステムがデータ化されているわけではないという。
昔ながらの紙ベースの膨大な資料や引き継ぎ要項など、どれが必要でどれが不必要かを判断するような細かい部分をひとつひとつ把握していく作業が、現在の土居さんの業務とのこと。
上原さん「ここの職人さんたちからは、根っからの職人さんだという印象を受けました。各々が製作にコミットしており、リーダーを中心としたものづくり体制が整っているからこそ、今まで素晴らしいものづくりが実現できていると感じました。その能力をどこまで伸ばしていけるか、僕たち2人の課題はそこだと思っています。僕は、ものづくり業界は、やはり職人さんファーストだと常々感じていて、どれだけ彼らに心地いい環境を作れるかが大事だと思っているんです」
――後半では、引き続き2人に今後の展望や、現在抱えている課題点をどう克服していくかなどを掘り下げて聞いていく。
>>後半に続く。