平成5年に創業された建具や家具の製造・販売を行うダイシン工芸株式会社。
2021年には、M&Aによって東京を拠点に店舗や住宅を主に「価値のあるリフォーム」を提案する株式会社リペアとパートナーシップを締結。
ここでは、前編に引き続き、取締役に就任した上原真一さんと会長である佐藤 進さんに「ダイシン工芸のこれから」について大いに語っていただいた。
職人ファーストの組織へ
会長の佐藤さん曰く「若くて新しい発想を持ったリペアの皆さんには、期待することばかり」と。
ダイシン工芸が今までに経験したことのない活動や展開が楽しみだという。
「リペアの社員は誠意のある方ばかりで、話をしていていつもワクワクします。
それに勢いもあって、それが本当に頼もしい。
我々が長年築いてきたモノ作りの精神に、みんなの力で新たな息吹をもたらしてほしい」(佐藤さん)
持ち前のコミュニケーション能力の高さから、ダイシン工芸の職人とすぐに打ち解けることができたという上原さん。積極的に歩み寄り、話かけ、食事へも誘った。時にはお酒を交えながら。
「ダイシン工芸の職人さんには、ベテランの方もいますが私と年齢が近い若い人たちもいます。
当初は『ぶっきらぼうで、無口でシャイ』みたいなイメージがあったのですが、じっくり話をしてみるとみんな優しくて気さくな印象でした。
今後トライしていきたい仕事や会社についての様々な課題などが、いくつも上がってきました。
彼らとそんな話をしていくうちに、そんな職人さんたちの思いを一つずつ具現化していきたい、と考えるようになりました。」(上原さん)
上原さんは、そのためにまずは「働きやすい環境作りから整えていきたい」という。
「それから、職人と営業職やそのほかの部門との連携・連帯も大事」だと上原さんは続けた。
「やはりダイシン工芸は、職人さんが生み出すモノによって成立していて、職人ファーストの組織だと思います。そういった職人さんにとって、まずはノンストレスで働ける環境を提供することが何よりも大事なことと捉えています。そして、会社としての確固たる理念を掲げ、みんなの目標を1点に集中することも。
さらにミーティングを何度も繰り返して行うことで、職人さんとそのほかの部署のメンバーのみんなが納得した状態で、一歩一歩確実に前進していきたい。
環境を整えて、道標を作り、足並みをしっかりと揃えて進んでいく。
そんな風に団結して生まれる力がこれからは大切になってくると思っています」(上原さん)
合理的なビジネス優先型の東京のスタンスとは環境がガラリと変わり、亀田という町は、人情味のある人たちで仕事や生活が成り立っているように感じる、という上原さん。
この土地の人々は、特に横の繋がりや心の籠った人付き合いを大切にしている傾向があると。
「目の前の数字ばかりを追求するのではなくて、人間関係の大切さや奥深さをもっと追求していきたい。
それは、きっと長く仕事をしていくうえで、とても基本的なこと。だけどすごく普遍的なこと」とも。
2021年3月より新潟へ移住した上原さん。
現在の休日の楽しみは専ら温泉巡り。
「東京にいた頃に、趣味が高じて『温泉ソムリエ』の資格を取りました。
新潟は温泉が豊富なので、その一つ一つを巡ることができる週末が楽しみです。
こちらに来て約3ヶ月。
一人で過ごす時間がとても増えたので、その甲斐有って自分と向き合う時間が増えました。
その分、休日温泉に浸かりながらも、仕事のことを考えるようになりました。
前職の頃よりも(笑)。
そんな時間を大切にして、会社がより良い方向に向かうよう努めていきます」(上原さん)