平成5年に創業された建具や家具の製造・販売を行うダイシン工芸株式会社。
2021年には、M&Aによって東京を拠点に店舗や住宅を主に「価値のあるリフォーム」を提案する株式会社リペアとパートナーシップを締結。
ここでは、新たに取締役に就任した上原真一さんと会長職に就任した佐藤 進さんに、M&Aに至る経緯や今後についての話を伺った。
「亀田」から発信する老舗の職人魂
新潟県新潟市江南区亀田は、新潟市のほぼ中央に位置し、磐越自動車道や日本海東北自動車道、そして亀田バイパスにより、JR新潟駅をはじめ他県からもアクセスしやすい所に存在する町。
近隣には日本最長の川「信濃川」が流れ、山や川、田畑といった自然に恵まれた土地で、農業や工業が盛んだ。
その交通の利便性の高さから、住宅地としても人気なスポットとして広く知られている。
かつては機屋、織物といった伝統工芸で栄えた町として知られていた亀田。
ダイシン工芸は、そんな亀田の町で、建具、家具をはじめとする木製品全般の製造を行っている。
昭和56年に建具を専門的に扱う会社として設立され、現在では屏風や建具、テーブルやキャビネット、造付け家具の製造が主で、オフィスやテナント、病院、そして駅ビルといった所に、日々多くのプロダクトが納品されている。
(2021年、ダイシン工芸の社長から会長職へ就いた佐藤 進さん)
「元々、私の実家が先祖代々続く茶箪笥(ちゃだんす)などの家具の製造業を営んでおりましたので、自然の流れで家具職人の道へ。
そんな家柄もあってか、子供の頃からとにかくモノ作りが好きで、遊び場と言ったら実家の工場。
よく機械でいたずらをしては、怪我ばかりしていた、そんな幼少期を過ごしました(笑)」
(ダイシン工芸会長、佐藤進さん ※以下、佐藤さん)
佐藤さんは、学校卒業後、建具などを製造する地元の会社へ就職。
昭和56年に独立し「建具屋の佐藤」を創業。
その後、様々な巡り合わせから、オーダーメイドによる家具製造や販売を開始。
鍛錬した職人による確かな技術と納期までの丁寧なやりとり、そして人情味に溢れた佐藤さんの人柄から、評判はすぐに広まり、気がつくと市内の多くの企業や店舗の家具や什器などが依頼されるように。
次第に抱える職人も増えていき、平成5年に工場を増築。
同年6月に「有限会社ダイシン工芸」として新たに出発させた。
建築業務を網羅することが目標
2021年、M&Aにより株式会社リペアの傘下となったダイシン工芸。
同年、新しく取締役に就任したのはそのリペアでトップセールスマンとして活躍し、主に千葉エリアのマネージャーを務めていた上原真一さん。
そんな上原さんに話を伺うと「リペアは、『ワンストップ・トータルソーシャルカンパニー』を目指している」というキーワードが返ってきた。
(2021年、ダイシン工芸の新取締役へ就任した上原 真一さん)
「これは、今まで『価値のあるリフォームの提案」によって年々業績を伸ばしてきた『リペア』は建築会社のすべての業務を網羅するという意味の言葉になります。
今まで私がリペアで所属していたのは、総合リフォーム事業部でした。
日々仕事をしていき経験を重ねていくうちに、次第にある感情が芽生えはじめました。
それは、多くのお客様が大金をはたいて、色々な思いでリフォームをご依頼してくださるなかで『平易にある量産品の家具を取り付けておしまい』ではなんだか申し訳ないなという思い。
すべてのお客様に心の底から喜んでいただけるように、工場の機械によって大量生産したモノではなく、職人さんの1人1人が気持ちと心を込めて作ったモノを提供していくべきではないか、と思いはじめたことがきっかけとなり、今回のM&Aのプロジェクトが持ち上がりました」
(取締役・上原 真一さん ※以下、上原さん)
長年蓄積されたダイシン工芸の持つ潜在能力を魅力に思ったリペアは、2021年にM&Aによって、満を辞してダイシン工芸とパートナーシップを組むことに。
建築会社で考えられる業務を網羅することを目標に掲げるリペアは、今後新たに「sequence (シーケンス)」というブランドを立ち上げ、デザイン性の高さにこだわった家具プロダクトを展開予定。
ダイシン工芸が40年以上培ってきた確かなノウハウとリペアの意外性と柔軟性に富んだアイディアがここで融合する。
ー後編 に続く。(8月下旬公開予定)