「ひつようとされる人づくり」その言葉に秘められた想い

リペアを15年以上支え続ける創業メンバーとして、その大きな存在感で社員たちの心のよりどころ的存在である伊藤大輔さん。
現場からの目と経営者側としての両方の目を持ち、今でも多くの現場を担う技術部の職人として、リペアを根底から支え続けている。
そんな伊藤さんが見る現在と未来のリペアとはどのようなものか。
組織スタート当時を知る伊藤さんだからこそ語れる、近年の変化などにも触れる。

元々『1年だけ』の約束で入社し、気づけば15年

ことの始まりは、前職のとあるリフォーム会社での出会いだったと伊藤さんは語る。
伊藤さんの運命を大きく変える出会いとなる、リペアの代表取締役社長の後藤紘儀さんとは前職のリフォーム会社で出会い、後藤社長が独立を決意した際に伊藤さんに声をかけたことで今の活躍につながる第一歩を踏み出すことになるのだが……。

「実は前職を退職した時、沖縄へ行って『もずく』の漁をしようかと考えていたんです。
すごく儲かりそうな職種でしたので(笑)。
前職では多能工の職人としての基礎を教えてもらったのでもちろん感謝はしているんですが、待遇面がとても不安定で就業時間が長すぎるというような深刻な問題も多く、遠方の現場が続くとまともに、自宅にも帰れないような生活を送っていました。
そんな生活を長く続けるわけにはいかないと思っていた時、個人事業主から有限会社を立ち上げるタイミングで後藤社長から声をかけられました」

後藤社長の人柄に魅力を感じた伊藤さんは、最初は躊躇したが、「それなら1年だけ」という約束でリペアの前身となる会社に入社した。

「前の会社を辞めて沖縄に行って、もずくの漁師になろうと思っていたんです。
しかし、後藤社長からそれを引き止められて。確かバーミヤンで2時間以上にも及ぶ長い説得で(笑)。
正直その時何を話されたかは覚えていないです。
ただ、後藤社長の圧倒的な熱量のようなものが伝わってきたことだけはよく覚えてます。
だから1年間だけならっていう約束で仕事を手伝い始めたんですけど…」

腕の良い職人である伊藤さんを離したくなかった後藤社長は、1年が経過したときに伊藤さんの下に部下をつける。
その部下というのが、職人志望であったものの、まだ右も左も分からないような新人だったという。

「その部下1人に仕事を引き継いで、すべての現場を担うことになったら大変なことになるのは明らかでした。
何もできないのに、このまま自分がいなくなるわけにはいかないと思い……、まんまと後藤社長の作戦にハマったわけですよね(笑)。
結果的にその部下は自分に1番長く付いていてくれて、10年以上一緒に仕事をしました。
彼は数年前に故郷に帰って今では地元で職人をしていると聞いています。
ゼロから技術を教えて、長く面倒を見てきたので、例えリペアを離れてしまっても、その受け継いだ技術や技は失われずに、今も誰かの役に立っているんだと思うと、嬉しいものなんですよ」

その時、意識せず発した言葉はのちに大きな意味を持つように

現在会社として「ひつようとされる人づくり」というスローガンも実は伊藤さんが発した言葉を元にしているのだという。
幹部陣が企業理念を考える為の合宿を行い、2日間本気で考えました。
そこで伊藤さんが発した言葉を後藤社長が気に入り、そのままリペア全体を表す標語として定着するようになった。本人は覚えていないそうです(笑)

「『ひつようとされる人づくり』という言葉は会社としての方向性を示す言葉として定着していくうちに、多方面での意味が込められるようになりました。
幹部として部下に『ひつよう』とされる、もちろんその逆も然りです。
また、会社という狭い範囲だけでの貢献という意味ではなく、例えば退職後の新しい環境でも『ひつよう』とされる人材になれるように、という意味も含まれているんです」

リペアは現在事業拡大のため、人材を増やしていっている過程であるが、そのメリットを伊藤さんはこう教えてくれた。

「人が増えるということは、新しいアイディアや様々な思考が集まることだと思うんです。
できることは増えていくし可能性も無限になっていく。
ただ人が多くなると、コミュニケーションが希薄になりがちという課題が出てくるんですよね。
どうしても人が多くなると、しっかりと交流ができにくい状態になっていくのは、確かだと感じています」

人が集結することで生まれる、新しいエネルギー

ただ、そんな課題もやはり「人の力」で乗り越えていこうとする姿勢がリペアにはある。
現在はキャンプ研修というユニークな集まりは継続しており、そこで他部署などあまり交流がなかったメンバーとのコミュニケーションが生まれる。

「まずはやってみようという気持ちを大切にしてくれる会社ですし、なにより後藤社長自身、面白いことが大好きな人なんです。
ベンチャー企業の良さというか、まだ新しく風通しのよい社風なので、どんな役職の人でもフラットな関係性で常に意見を出し合うなど、それぞれの立場という垣根を超えて話し合いをしています。
自分も社歴は長いですけど、新しく入ってきた方からの意見を聞いて『なるほど! 』と思ったことは、どんどん積極的に取り入れています」

 

>>後編へ続く

リペア 執行役員兼技術部 部長

伊藤大輔 -DAISUKE ITO -

1981年9月生まれ。
IT専門学校中退後、職人の世界へ。
当時個人事業主だったリペアサービスと繋がる。
2006年4月に有限会社リペアサービス設立と同時に入社。
自社職人として、施工や新人教育など事業拡大に貢献。
2012年4月に分社化し(株)リペアサービスの執行役員を経て取締役に昇進。
2017年8月にRooTree株式会社へ社名変更し「ひつようとされる人づくり」をモットーに教育や新事業に取り組む。
現在は、リペアの技術部の執行役員として経営者としての顔を持つ傍ら現場で職人としての作業も行う。

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