どうなるのかは自分たち次第。仲間への感謝を活力に、邁進する。
2016年、それまで内装事業に従事してきた樋口さんは、自身が愛する音楽・キャンプを核とした野外フェス『THE CAMP BOOK』を主催するイベント事業部を立ち上げた。
その中で、想像を超える苦難もあったというが『挑戦させてくれた会社やサポートしてくれた仲間やお客さんへの感謝を胸に、できることをとにかくやってきた』と樋口さん。
現在は川崎さんも加わり、THE CAMP BOOKの主催だけでなく、他のイベントのサポートや新たな企画の立案など“のろしをあげる”部隊として『norosi stand』の名で活動を行っている。さまざまな制限のあるコロナ禍のいま、norosi standの2人は何を考え、これまでの動きにどのような変化を加え進んでいるのかを探る。
『直面した状況は根深く。蓄積したものが崩れる感覚も。』
と振り返るnorosi standの2人。2017年にスタートさせたキャンプブックは2018年、2019年と徐々に規模を拡大し、成長の途中にいた。異ジャンルから集結するユニークな出演アーティストや会場に足を運ぶ来場者が醸し出すあたたかい雰囲気により、2020年・2021年の開催を心待ちにしている方も多かったのではないだろうか。
その期待とは裏腹に、世の状況は不安定かつ不確定なものとなり、身体的な距離の確保や飲食の制限などイベント開催制限の措置を強める流れに。
そんなコロナ禍の状況を受け、来場者やスタッフの安全を考慮する形で無念にも2年連続開催見送りの決断を下した。
『毎年来場してくれる方に加え、開催初年度から身を削ってサポートしてくれたスタッフや出店者の方にもこれから恩返しを。と思って動いている矢先だった。』と樋口さんも語る。
norosi standの2人は、自分たちだからこそできることは何だろうかと模索したという。
“キャンプ”ブックという名に表現される『キャンプ』というコンテンツは、やはりコロナ禍においても必要不可欠だと考え、キャンプブックから大幅に規模を縮小し、キャンプインオンリーで入場組数を制限したCAMPus(キャンパス)というイベントも2020年内に3回開催をした。
『こどもも安心して連れてくることができた』『スタッフの対策や来場する方のマナーがよく気持ちよく楽しめた』などたくさんのメッセージがnorosi standには寄せられたという。
しかし、現実はそう甘くはなかった。『来場組数』と『コンテンツ』を共に縮小して開催すればその規模内で最大限に楽しんでもらえるという予想に反し、『やはり、どこを切り取ってもお客さんに“物足りなさ”を感じさせてしまう場面が多かった。』と2人は分析しているようだ。
『いまだからこそ、社内へ還元できることがあるんじゃないか。』
前述の通り、コロナ禍でのキャンパス開催で浮き彫りになった自分たちの課題と収穫を胸にnorosi standとしての活動を多角的に見つめなおす機会が増えていったそう。
さまざまな形態でのイベント開催を目論みながらも、一番身近な社内の仲間へ還元できることはないかという視点からも意見を出し合った2人。そして、社内の人事や各事業部長との意見交換を進める中で、『norosi stand監修のアウトドア研修をしてみるのはどうだろう』というユニークな案が生まれたのだ。
『これまで、キャンプブックには新卒や社員などが有志で事前・当日のボランティアスタッフとして参加してくれていた。その中で、われわれnorosi standから社内のみんなにお返しできることがなかなか見出せていなかったことが気掛かりだった。』と樋口さん。
そこで、このコロナ禍において社内間の交流が確実に減少してしまってるいま、新卒・店長などを対象として『共に学び、共に遊ぼう』というキャンプブックのスタイルを踏襲して実施するアウトドア研修は、norosi standと社内メンバーの双方にメリットがあるのではないかと2人は考えた。
そして今春、早速2021年度の新卒を対象とした『新卒アウトドア研修』を
norosi stand監修で行うこととなったのだ。
さて、norosi standの動きを紐解く前編はここでおわり。
後編は、その『新卒アウトドア研修』がどのような形で実施され、新卒や人事、norosi standの2人は何を感じたのか迫っていこうと思う。
―後編は、6月下旬公開予定。